川島雄三 監督「洲崎パラダイス赤信号」には、昭和30年代の秋葉原がある。
- 映画
掲載日: 2019年09月06日
これは、稀代の大傑作です。
なぜなら・・・、見始めたのは、23:30。
しかも、やっとのことで仕事を終えて、
眼も疲れ切っていて、もう眠たいばかりの頃合いです。
そんな状態で見始めて、眠くなるどころか、一気に最後まで見てしまいましたから。
主人公、蔦枝(新珠三千代)と義治(三橋達也)は、途方に暮れている。
今日の宿はどうしよう・・・と、勝鬨橋でたたずんでいる。
頼りにならない義治に業を煮やした蔦枝は、
ちょうど停留場にやってきたバスに飛び乗ると「洲崎」まで来てしまう。
ここは、世にいう赤線地帯。
入り口には、「洲崎パラダイス」のロゴをあしらった大門があります。
これをくぐるかどうか・・・。
迷いに迷った蔦枝は、ふと目に留まった、一杯飲み屋に入っていきます。
困り果てた二人を見たおかみさん(轟夕起子)が、住み込みで雇うことにするのですが・・・。
ここからが、面白い。
失われた昭和30年代の東京の風景、風俗と相まって
おかみさんの見せる人情で、昨今では見る影もなく失われた「古き良き日本人」が、まざまざと蘇ってくるのです。
最後が、これまた素晴らしい。
勝鬨橋のシーンで始まったこのドラマは実に見事に、勝鬨橋の全く同じシーンで終わるのです。