人恋しい肌寒い夜にこそ岡本綺堂の怪談がぴったりです。
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掲載日: 2021年10月12日
10月も中旬ともなれば、夜は肌寒くなってまいります。
今宵のような熱燗でも飲みたくなる人恋しい秋の夜長には、岡本綺堂の怪談こそがぴったりです。
先日の読書会で、岡本綺堂を取り上げました。
江戸の人情噺が持ち味。傑作ぞろいです。
どんなものかと言いますと・・・。
「利根の渡」
およそ怪談らしからぬ、むしろ人情話の趣さえあるタイトルですが怪談です。
時は享保年間。
ひとりの座頭が利根の川岸に立っている。
雨風をいとわず、三年にもわたる年月を毎日。
いったい彼は何のために川岸に立っているのか。
真相がわかると空恐ろしい後味が残ります・・。
「猿の目」
題からして古式ゆかしい怪談の趣があります。
語り手の「女」の父親は骨董が趣味で、ひと際大事に所有しているものがある。
それは「両目を白い布で覆って
その布を後ろで結んで、目隠しをしたような」猿の面。
なぜ、両目を隠さなければいけないのか。
真正幻想怪奇譚です。
「清水の井戸」
時は天保年間。
豪商の跡取り娘が、ある日を境にやせ衰え始める。
不審に思った家人が調べていると
娘は、夜半になると起きだし裏庭へ出ていく。
そして、月明かりの中、毎晩、古井戸の底をのぞき込んでいるのです。
「井戸」自体が、なにやら底知れぬ不気味さを含んでいます。
古井戸の中には、何があるのか・・・・。