
フランツ・カフカ「皇帝の使者」には、果てしない絶望が描かれている。
- 海外文学
掲載日: 2023年04月07日
「皇帝の使者」は、カフカが33歳の時(1917年)に発表した掌編。
ある国の皇帝が、臨終の間際に使者に伝言を持たせ派遣した。
すぐさまその途に就いた使者は、宮殿の奥深くの部屋部屋をなんとかしてかけ抜けようとするのだが、部屋部屋を抜けきることができない。
うまくかけ抜けたとしても、いくつもの内庭を越えていかなければならない。
さらに、またいくつもの別の宮殿を駆け抜けていかなければならない。
そして、いちばん外側の門から走り出たところで、そこから、大きな首都を巡っていかなければならない。
そして、受け取る者は、訪れることのない使者を待ち続けるというのです。
カフカが、この作品を執筆したのは、結核が発症した直後。
この作品には、果てしない絶望が描かれているのでしょうか。
「審判」や「城」のような長編に勝るとも劣らない絶望がここにあるような気がします。
