
森鷗外「高瀬舟」には、アナタの人生に必要なことが描かれているのかも知れない。
- 日本文学
掲載日: 2022年07月20日
「高瀬舟」は、1916年(大正5年)に文芸雑誌「中央公論」に掲載された作品。
江戸時代の随筆集「翁草」にある「流人の話」をもとにして書かれた短編小説です。
罪人を島流し先の遠島に送り届ける船が「高瀬舟」。
護送役の船頭と遠島を申し渡され高瀬舟に乗る罪人の喜助との交流を描いています。
これまでの罪人と違い、嘉助はいかにも楽しそうな様子である。
それを訝しむ船頭、庄兵衞。
こらへ切れなくなつて呼び掛ける庄兵衞。
「喜助。お前何を思つてゐるのか」
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嘉助の答えを聞いた船頭は、氣が附いた。
人の欲望は留まることを知らない。
それを今目の前で踏み止まつて見せてくれるのが、この喜助だと。
その「嘉助の答え」が秀逸です。
それは、まさに「人生に必要なこと」。
知りたい方は、ぜひ青空文庫でお読みください(;^_^A
無料で読めます。
「時間と手間をかけて自分で読む」ということ。
これも「人生で必要なこと」なのです(;^_^A

「高瀬舟」が、読書会の課題図書に取り上げられて、いろいろな方と語り合ううちに、ふと思い出したことがありました。
遠島を申し渡され、向かう先の島には、極刑を言い渡された極悪人がたくさんいます。
そこには、治安を維持する番人も居ません。もう無法地帯です。
そんなとこに流された人がどんな状況が待っているか。
それを踏まえて読むと、嘉助の浮かべる笑みが、とても悲しいものに見えてくるのです。