カズオ・イシグロ著「私を離さないで」は、二度読むといいかも。
- 海外文学
掲載日: 2018年10月10日
「介護人」である主人公のモノローグで、彼女の幼少期に過ごした「施設」での思い出が語られていきます。
ここから、なんとも切ない物語が始まります(・_・;
この小説は、二度読む必要があります。
最初に読む際は、たいていの場合、なにがどうなっているのやら、
感情移入できないことでしょう。
なぜかというと、想像をはるかに超えた状況設定がなされているからです。
読み進めるうちに、徐々に恐ろしい状況がつかめてくるのですが
そこにたどり着くまでに、状況がわからないがゆえに挫折してしまうやもしれません・・・(^_^;)
読書会の課題図書として、この作品を取り上げた際、
皆さんからの感想をお聞きしたら、
多くの方が、途中まで状況がつかめずに読むのに難儀したとおっしゃっていました。
ここにでてくる、固有名詞の意味がまるでわからないはずです。
「介護人」とは何なのか?
「提供者」とは何なのか?
「施設」とは何なのか?
「展示会」とは何なのか?
読み終えて、全貌がわかったのちに、
再び最初から読むと、なんともいえない、切ない感情が沸き起こってくるはずです。
この感情は、本当に不思議な感情。
「死」を運命づけられた若者。
「死」に抗うことのない若者。
彼らの生きざまに、何とも言えない切なさをかんじざるを得なくなります。
あなたは、見ず知らずの他人のために
「死」を覚悟できるでしょうか・・・。
映画版「私を離さないで」についての記事もあります。
こちらのリンクからどうぞ。
https://honkomyu.com/contents/watashi2018sept20/