老舗の業を描き出す、岡本かの子「家霊」
- 日本文学
掲載日: 2022年12月01日
「家霊」は、1939(昭和14)年に文芸雑誌「新潮」に掲載された作品。
老舗のどじょう店を切り盛りする若女将の業の物語です。
「家霊」というタイトルからして、何かおどろおどろしい。
で、そのどじょう店の屋号が「いのち」。これまた、おどろおどろしい(;^_^A
物語の冒頭に客が店に入る場面では、こんな会話が交わされます。
「疲れた。一ついのちでも喰うかな」
すると連れは
「逆に喰われるなよ」
もうこの時点で、怪談にしか思えなくなってきました(;^_^A
このどじょう屋は、亡くなった先代の後を継いで若女将が切り盛りしています。
先代から言い残された、ある習わしがあります。
それは、近所に住む老彫金師に、毎食、どじょう汁をふるまうこと。
なぜ、このようなことをしているのか、
若女将が受け継ぐ「業」がとても丹念に描かれています。
やはり、これは、一種の怪談だと思います(;^_^A