アナタの恋愛経験が試されるフランソワーズ・サガン「ブラームスはお好き」。
- 海外文学
掲載日: 2022年09月06日
「ブラームスはお好き」は、1959年、サガンが23歳の時に発表された作品。
冒頭には「ギイへ」とあり、当時の夫であるギイ・シェレールに捧げられている。
もし、ボクが妻からこの作品を捧げられると、
とても意味深な、複雑な気持ちになると思います・・・(;^_^A
というような物語です(;^_^A
第一章:主人公二人、ポールとロジェの関係が描かれます。
ポールとロジェは、40歳に、もうすぐ手の届く恋人同士。
ポールは、年齢を重ねることで自分の容姿に変化が起きていくことに不安を抱いているようです。
ポールというと男性のような名前ですが、この物語のポールは女性です。
サガンは、実に巧みな文章を書きます。
例えば、
約束の時間にロジェが、ポールのアパートメントを訪ねてきた時の様子。
ドアが開くとロジェは言います。
「ひとり?」
別な男性がいることだってある、ということを示唆しているわけです。
こう尋ねるセリフひとつで、お互いを束縛しない間柄だということが解ります。
例をもう一つ。
外で食事をとった後、ロジェはポールの部屋には上がらず帰っていきます。
ひとりアパートにたたずむポール。
そこには「決して皴になることのないシーツ」がある。
彼女の寂しい切ない気持ちがよく表れています。
揺れ動く二人の気持ちが不穏な気配を感じさせる導入部です。
第二章:ポール、美しき青年シモンと出会う。
インテリアデザイナーのポールは、装飾を依頼されたアメリカ人宅へと行く。
そこにいたのが、美青年のシモン。
仕事の依頼主の夫人の息子です。
シモンは言う。
「いつか、ボクと昼飯を食べに行ってくれませんか?」
それを聞いてポールはこう思った。
シモンが、車のスピードを落として、悲しそうに運転しているようにさえ見えた、と。
これは、何を意味しているのでしょうか・・・。
読む人によっていろんな捕らえ方があるハズ。
読書会で皆さんと話してみたいですねぇ。
第三章:美しき青年シモンの人となり。
弁護士事務所で働くシモン。本日の出社時刻は、11:00過ぎ。
大遅刻である。
が、そんなことはどこ吹く風、
事務所の秘書に、先ほど出会ったポールの美しさを滔々と語っている。
まぁ、そういう人となりなのです(;^_^A
こういう男がモテるんですねぇ(;^_^A
一方、ロジェはというと、ポールにこんなことを聞いている。
「幸福?」
ポールは、うなずく。
「ボクが時々する浮気は、何の価値もないもんだって知ってるだろう?」
ロジェがこう言うのを、ポールは子供っぽいことを言う、と受け入れています。
ここまでで、三人の人間関係、それぞれの性格がわかってきます。
さぁ、この後、この三人がバーで遭遇するのですが、何が起こるかは、お楽しみに(;^_^A
そして、この後の第六章では、
タイトルの由来になっている「ブラームスは好きですか」というセリフが出てきます。
これが、どのような意味を持つのかも、読書会で話したいもんですねぇ。
読者の恋愛体験に応じて読み方が大きく変わってくるような気がします。
この三人の行く末や如何に・・・。