
私が「絶望」を受け入れるまでを描く、アンナ・カヴァン「アサイラム・ピースⅡ」。
- 海外文学
掲載日: 2022年09月26日
「アサイラム・ピースⅡ」は、I~VIIIの8編からなる連作短編の第二章。
1940年に発表された作品です。
アサイラムに連れてこられた「私」。
最初の頃の心境がこんな風に綴られています。
「私には友人が、恋人がいた。それは、夢の中のことでしかなかったのだろうか」
「私」は、アサイラムで日々を過ごす。絶望的な状況です。
「何もない壁と異様に小さなグラスの底に沈殿した苦い薬に挟まれて、ベッドに横になったまま」
ここから、「私」が絶望を受け入れていく過程が描き出されていきます。
その描き出す文章が幻想的で美しい。芸術作品を見ているかのようです。
やがて、「私」は、誰がここに連れてきたのかに思いが至り、
「私」はこう思うのです。
「私には友人が、恋人がいた。それは、夢だった」
