朗読コンテンツ10-夏目漱石「夢十夜」-第四夜(手拭いを蛇にして見せるという老人の話)は、人間の一生を描いている。
- 日本文学
掲載日: 2022年12月23日
「夢十夜」とは。
「夢十夜」は、1908年(明治41年)に『朝日新聞』に連載された連作短編小説。
朗読にピッタリの長さの作品です(;^_^A 作家の人生をありのままに描く「自然主義文学」とは異なり、 リアルな「作り物」を旨としている漱石らしく、実に不思議なお話。
そして、ただの空々しい幻想的な物語ではなく、生き生きとしたリアリズムにあふれています。
今回お届けする朗読は、夏目漱石「夢十夜」の第四夜です。
「夢十夜」第四夜を解説します。
第四夜は、とても不思議な話です。
ひとりの老人が酒を飲んでいる。
「家はどこかね」と聞かれると、「臍(へそ)の奥だよ」と答える。
そのうち表へ出ると、手拭いを取り出して、
「今に手拭いが蛇になるから、見ておろう。見ておろう」と触れ回る。
けれども手拭いはいっこうに動かない。
これは、何かの寓話なのでしょうか?
一回読んだだけでは、何のことやらわからないのですが
よく読むと、ヒントがちりばめられているようです。
ヒント1
「顔中つやつやして皺と云うほどのものはどこにも見当らない」
と描かれているように老人なのに皴がないのです。
ヒント2
「御爺さんの家はどこかね」と聞かれた返事は「臍(へそ)の奥だよ」
ここまでで何となく、感じ取れるのが、
生まれる前の赤ちゃんのこと?ということです。
これを踏まえて読み進めていくと、面白いことが解ってきます。
熱い酒をぐいと飲んで、爺さんは表へ出ます。
「生れ出た」ということにも思われます。
手拭いを取り出した老人は
「今にその手拭が蛇になるから、見ておろう。見ておろう」と繰り返します。
人は生きていくうえでいろんな経験を積んでいくと言ったことを言っているのでしょうか。
やがて老人は、川にたどり着いて・・・。
つまり、これは、人間の一生を表現しているようです。
この物語は、いろんな解釈ができます。
読書会で、いろんな方の意見を聞きたいですねぇ。
そんな不思議な物語を朗読と映像で表現してみました。