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JDサリンジャー「フランスにて」は、実際に戦場に行ったものにしか描けないリアルさが秀逸です。

JDサリンジャー「フランスにて」は、実際に戦場に行ったものにしか描けないリアルさが秀逸です。

  • 海外文学

掲載日: 2023年08月25日

「フランスにて」は、1945年、サリンジャーが26歳の時、雑誌「ザ・サタデイイブニングポスト」に掲載された短編小説です。

舞台は、第二次世界大戦最中のフランスの、とある戦場。
夜、一人の若き兵士が、寝場所を確保するために塹壕を探しています。

撤退したドイツ軍が、残した塹壕を見つけ横たわる兵士。
眠りにつこうとするも、一匹のアリが彼を眠らせてくれません。

ふいに赤いアリが悪意を込めて、容赦なく脚にかみついてきた。片手を毛布の下に突っ込んで殺そうとしたが、その手がぴたりと止まった。痛みに舌打ちする。その日の朝、爪が一枚はがれたのに、それを忘れて、こすってしまったのだ。

「フランスにて」(新潮社)

兵士の祈りが、胸を打ちます。

「今度、毛布から手を出すときは、爪が生えて、手がきれいになっていますように。きれいなアンダーシャツとワイシャツを着ていますように。・・・(以下略)」

「フランスにて」(新潮社)

兵士はポケットから手紙を取り出します。
それは故郷にいる妹、マチルダからのもの。
そう、この兵士は、「最後の休暇の最後の日」で、戦地に赴いたベイブなのです。
ボクはベイブが無事にマチルダの元へ帰れることを願ってやみません。

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