
太宰治「富岳百景」で、ボクは太宰の優しさを垣間見たような気がする。
- 日本文学
掲載日: 2022年12月21日
「富岳百景」は、1939年に雑誌「文体」に掲載された短編作品。
太宰が師と仰ぐ井伏鱒二が、山梨県の御坂峠にある小さな茶屋に逗留して作品を執筆しており、
太宰も慕うようにして、その茶屋を訪れ、逗留します。
そこに滞在した3か月間の出来事を面白おかしく綴っています。
その茶屋からは富士山を仰ぎ見ることができ、
鬱々とした気持ちでいた太宰にとっては
晴れ晴れとした気持ちになることができる場所だったのではないでしょうか。
そんな場所だからか、
太宰の描くエピソードは実にユーモアと優しさにあふれています。
「ときたま、おかみさんが、峠のふもとに買物をしに出かけて行つて、あとには娘さんひとり。
お洗濯してゐる娘さんの傍へ近寄り、
「退屈だね。」と大声で言つて、ふと笑ひかけたら、
娘さんはうつむき、泣きべそかいてゐるのだ。
それからは、気をつけた。
娘さんひとりきりのときには、茶店にお客でも来たときには、
私がその娘さんを守る意味もあり、のしのし二階から降りていつて、
茶店の一隅に腰をおろしゆつくりお茶を飲むのである。」
なかなか優しい一面があるようです。
ほかにも、とてもユーモラスなエピソードが満載ですので、
太宰治の明るい一面を垣間見ることができます。

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