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アンナ・カヴァン「母斑( あざ)」は、子供の頃の絶望が描かれているのだろうか。

アンナ・カヴァン「母斑( あざ)」は、子供の頃の絶望が描かれているのだろうか。

  • 海外文学

掲載日: 2022年09月17日

アンナ・カヴァンは、1940年40歳の時、本名である「ヘレン・ファーガソン」を捨て、
名を「アンナ・カヴァン」と改め、創作を始めます。
その最初の短編集「アサイラムピース」に、この作品は収められています。

ひとりの少女が、14歳の時、地方の寄宿舎に入り、
そこで、「H」という少女に出会う。
別に友だちになるわけでもなく、ただ見知ったというだけです。
ただそれだけなのに、行間には言い知れぬ不安な気配が漂っています。

Hの顔の細部は思い出そうとする傍から滑り落ちてしまう。
思い起こせるのは、ただ、宿命を受け入れ、それに身を委ねている、そんな面立ち・・・。

時は過ぎ、二人は寄宿舎を去り、その数年後。
さらに読者を絶望に陥れる物語が待っています。

アンナ・カヴァン自身も、子供の頃、厄介払いのように寄宿舎に入れられています。
この作品は、彼女の心の叫びのような気がします。

あなたは、どのように感じるでしょうか。

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