
三島由紀夫「憂国」は、かなりの覚悟がいる小説だと思います(;^_^A
- 日本文学
掲載日: 2021年11月20日
「憂国」は、1961年(昭和36年)に雑誌「中央公論」に掲載された短編小説。
226事件を題材にした、重厚な作品です。
主人公は、妻を娶って間もないが故に、二・二六時件の決起に参加できなかった武山中尉。
彼は、決起した親友を討つ立場になってしまいます。
それを潔しとせず死を選ぶ武山。
そして軍人の妻として、
「お供させていただきます」と言い放つ妻。
そこからが壮絶です。
武山中尉が、割腹し、それを見届ける妻、
さらには自らも死への道を選ぶ妻の様子が、克明に描き出されています。
凡百の作家が描くと絵空事にみえる設定ですが、三島が描くからこそのリアルさがあります。
読んだ後、放心状態になってしまったのは久しぶりです。
三島由紀夫、曰く
「もし、忙しい人が、三島の小説の中から一編だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのやうな小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一編をよんでもらえばよい」
と言わしめる作品でした。
ただし、読むにはかなりの覚悟がいると思います(;^_^A
