カレル・チャペック著「白い病」は、まさに「コロナ禍」の日本で起こっていることを描いています。
- 海外文学
掲載日: 2021年10月20日
「白い病」は1937年に発表された全三幕からなる戯曲。
全編セリフだけで、しかもドラマチックな展開で進んでいくので
とても面白くて、読み易い(;^_^A
カレル・チャペックは、チェコの国民的人気作家です。
今読んでもこれだけ面白いんだから
なるほど、当時は大人気だったんだろうなと思わせる作品です。
隣国との戦争を目前に控えたある国に、致死率100%の伝染病が蔓延します。
治療の術もなく、人々が恐怖の真っただ中にいるとき、
ひとりの若き医師が、完全に治癒する治療方法を発見します。
それを耳にしたときの治世者の行動は如何なるものか。
治療方法を発見した医師のとる行動や、如何に。
ひいては、周囲の人々の行動や、如何に・・・。というお話です。
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作品の暴徒で、市井の罹患者はこう言います。
「何の理由もなくこんな病気にかかるわけがない。
神様が俺たちを罰しているんだ」
1930年代当時の庶民の宗教観が描かれているのでしょうか。
このあと、そんな庶民の愚かさが、恐ろしい事態を引き起こしていきます・・・。
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庶民の様子を表すかのように、
愚かな「父」と聡明な「母」が登場します。
新聞を読みながら父は言います。
「新聞はすぐに大騒ぎする。
誰かが風邪で寝込もうものなら、すぐに「白い病」だと言う」
半世紀前に書かれたものですが、同じようなことを
つい最近、誰かが言っていたような気がしますが・・・。
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こんな状況の中で、致死率100%の「白い病」の治療方法を発見した若き医師。
彼は、戦争を辞めさせるべく、ある行動をとるのです。
果たして、それが吉と出るか、凶と出るか。
カレル・チャペックは、時の治世者のみならず、
国民のとる行動こそが災いを招くのだと言っています。
今の日本を見ていると、まさにそのとおりのことが起こっています・・・(;^_^A