サン=テグジュペリ「夜間飛行」には、飛行機乗りにしか見えない世界が描かれています。
- 海外文学
掲載日: 2022年01月24日
「夜間飛行」は、1931年にフランスのガリマール書店から出版された小説。
飛行機乗りとしての経験に基づくリアルな記述が溢れる小説です。
この作品が描かく1920年代の飛行機には、
レーダーなどの自機の位置を知る機器や安全装置などもなく
まだ夜間飛行は危険なものとされていました。
けれども、鉄道や車への優位性を保つためにも、敢えて、その危険に挑戦する人々がいます。
主人公のリヴェールは郵便飛行の運営を司る支配人。
この作品は、危険な「夜間飛行」を果敢に運行するリヴェールの体験した一夜の物語です。
サン=テグジュペリを飛行機乗りとして指導した人物がモデルとなっています。
これから飛び立とうとする操縦士ファビアンは
行く手に待ち受ける悪天候の気配を感じ、自分の心情を吐露する。
「この土地に住む素朴な人間になり、変わることのない景色を眺めながら暮らしたい。
でも、それは恋愛のように人を盲目にしてしまう」
サン=テグジュペリが、なぜ飛行機に乗り続けたのか・・。
その答えがわかったような気がします。
読み終えて、ふと思い出したのが宮崎駿の「紅の豚」。
表紙の複葉機のイラストは宮崎駿が描いたと知って
お~!っとなりました。