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谷崎潤一郎が「春琴抄」で描くのは、究極の純愛だとボクは思う。

谷崎潤一郎が「春琴抄」で描くのは、究極の純愛だとボクは思う。

掲載日: 2019年11月24日

「春琴抄」は、1933年(昭和8年)に、文芸誌「中央公論」に発表された作品。
お話の衝撃度もさることながら、文章の美しさ、構成の妙、あらゆる点で名作の誉れ高い文学史上に残る大傑作です。

この作品は、設定そのものがとてもユニークです。
鵙屋春琴伝」という古書を手に入れた小説家が、
読者に向かって「鵙屋春琴伝」はこんなことが書かれていますよ、と話して聞かせていくという設定なのです。
「春琴抄」の「」とは、長い物語を、「わかりやすく読み解いていく」ことを現しています。
とても、凝った作りの作品です。

この作品には一つの特徴があります。
句読点や改行を故意に省略した独自の文体で書かれています。
つまり、句読点がなく、文章に切れ目が少ないので、ずらずら~っとつながっているのです。

なぜ、そうなっているのか。
それは、この作品は、黙読ではなく講談などのように「語り」を意図して書かれているからです。
語り部である「私」が「鵙屋春琴伝」を、かみ砕いて口頭で語る、という感じが出るように意図されているのです。

神田白山さんなどの語りの様子を動画で見ているとよくわかるのですが
じっくり聞かせたいときは、ゆっくりと区切って喋っていますが、
興が乗ってきて展開が早くなってくると、区切りが無くなっています。

それを踏まえて、「春琴抄」の冒頭を見てください。
「鵙屋春琴伝」という古書を手に入れた小説家が、本に登場する盲目の美少女、春琴と、その舎弟である佐助の墓を訪ねるところから、話が始まります。
そこは、句読点がしっかり打たれていて、区切る個所が沢山あります
導入部ですので、ゆっくりとしゃべる個所というわけです。

そして、進行するにつれて、話が興に乗ってきて区切りが無くなってきます
実際に、講談口調を意識して音読してみてください。実感できると思います。
音読すると文章の意味がスッと入ってきて イメージがつかみ易いのです。
 永井荷風が「完全なる文章の持ち主」と絶賛した谷崎ならではの読み易さです。

そして、谷崎潤一郎の「文章読本」にも別な視点からの説明も記載されていますので、
ぜひ、そちらもお読みください。

ボクは、昨今の男女の恋愛というものを、なんとも嘆かわしく感じています(;^_^A
出会いの場が飛躍的に増えてきたこともあり、ちょっと気に入らなければ、すぐに別れ、
はたまた、隙あらば浮気に走り、二股をかけてみたり・・・(;^_^A

つまり、薄っぺらい恋愛を繰り返しているのではないのか?
と思えて仕方がないのです。
で、そこへもってきての「春琴抄」です。

容赦のない「サディスト」である春琴、そして、彼女をひたすら慕う門弟である佐助
主従関係にあるふたりの、深い深い関係性が、絢爛たる文章で描かれています。
そこには、浮気どころか、産み落とした子供すら目に入らぬほどの深い結びつきがあるのです。

願わくば、ボクにも、かみさんの情け容赦のない罵倒に耐えうるだけの
力強い「愛」がほしい・・・(;^_^A

本コミュ読書会では、「春琴抄」を課題図書として取り上げました。
読む方の恋愛経験や考え方で、いろんな意見が聞けるのも読書会ならではの楽しみ方です。

恋愛をテーマにした読書会で、「春琴抄」を紹介しましたが
話したりなかったので、読書会の後で、話してみました。
この動画は、まだ読んだことのない人向けの概要の説明のようなものになっています。

それどころか、配信で勝手に読書会のようなものを4回にわたってやってみました(;^_^A

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