宮沢賢治著「注文の多い料理店」は、「原文」こそが命です。
- 日本文学
掲載日: 2020年08月04日
童話集「注文の多い料理店」には、不思議な不思議なお話が収められています。
たとえば、表題の「注文の多い料理店」には、こんな光景が描かれています。
主人公である二人の紳士が、「料理店」に入っていったところ
こんなことが起こります。
———
かぎ穴からは、
きょろきょろ二つの青いめだまが、こっちをのぞいています。
「うわあ」
がたがたがたがた。
ふたりは泣き出しました。
————
さらりと読み流してはいけません。
よーくこの情景を思い描いてください。
鍵穴から目が二つ見えている。
そんなことありえません。
だって、鍵穴って、小さいものでしょう?
そう、これは、辻褄の合わない不条理な世界、
まるで夢の中に出てくるような光景なのです。
決して速読なんぞで読んではイケマセン。
ストーリーを追うだけではイケマセン。
賢治の描く世界は、賢治の書いた文章にこそ存在します。
だから、絵本もダメです。
全くの別物になってしまいます。
賢治の書いた「奇妙な文章」を、
行きつ戻りつして、じっくり読むと不思議な世界が見えてきます。
あまりにも、不可思議すぎて、
どこか別な世界へ連れていかれそうになります(;^_^A