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澁澤龍彦の「高丘親王航海記」は、どこからが夢でどこからが現実なのか混沌としてしまう、まさに幻想小説の大傑作です。

澁澤龍彦の「高丘親王航海記」は、どこからが夢でどこからが現実なのか混沌としてしまう、まさに幻想小説の大傑作です。

掲載日: 2025年03月07日

澁澤龍彦の「高丘親王航海記」は、1985年から雑誌「文学界」に連載された幻想小説です。

執筆中は澁澤龍彦は病床にあり、書き上げた後に死去しています。
澁澤龍彦の遺作となる作品です。

「高丘親王航海記」のあらすじ

この物語の主人公は、平安時代の皇族である高丘親王
彼は二十歳そこそこで仏門に入り、六十代後半になり天竺を目指します
三人の従者を従えて日本を後にし、予想もしなかった国々を巡ることになるのです。
彼の地で出会う想像を絶する奇妙な生き物や風習の数々を読者も体験することになるのです。

「高丘親王航海記」を解説します

私は、初めてこの作品を読んだときは、ジョナサン・スイフトの「ガリバー旅行記」を思い出しました。
「ガリバー旅行記」は、主人公の船医ガリバーが冒険の旅に出て、様々な国を訪れ不思議な生き物や風習に出会うというもの。

この類の作品をボクは勝手に「空想旅行記」と呼んでいますが、この系譜の作品は実にたくさんあります。
筒井康隆の「旅のラゴス」しかり、ヴァン・ボークトの「宇宙船ビーグル号の航海」しかり、松本零士の「銀河鉄道999」もまさにそうです。
古くは「西遊記」、そして最近の作品では、コルソン・ホワイトヘッドの「地下鉄道」があります。

でも、「高丘親王航海記」は一味違います
まず構成の巧みなこと

冒頭で描かれるのは、出向の準備をする高丘親王一行の様子。
そこでは同行する従者の円覚や安展がどんな人物かが描かれ、さらに飛び入り参加する秋丸も実にドラマチックに紹介されます。
読者は高揚感を感じることでしょう。

そして、出港した後に描かれるのが、高丘親王の幼少期の出来事です。
ここで、なぜ仏門に入ったのか、なぜ天竺に行くことを決意したのかが描かれます。
このエピソードがあることで、この後に描かれる荒唐無稽な物語が地に足をつけ説得力が増すのです。

もうひとつの特筆すべき点は、現実と幻想の境がわからなくなること。

この作品を読むときにただ漫然と読んでいくと、いろんな不思議な風習や動物が出て来るだけの話、で終わってしまいます。
わたしは、最初読んだときがそうでした。
で、二回目読んだときは、親王が時折「眠くなる」ような記述があることに気が付きました。
そこで、親王が眠りに落ちる記述に注意して読んでいきました。
すると、多くのエピソードは親王の観た夢の中の出来事だと分ってきます。
現実の出来事と、夢の出来事がシームレスにつながっているので、漫然と読んでいては見分けがつかないのです。

それ以外にも、いろんな伏線が張り巡らされていますので、ぜひ注意深く読み込んでみてください。

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