朗読コンテンツ06-宮沢賢治「よだかの星」-よだかは賢治自身を投影しているのだろうか。
- 日本文学
掲載日: 2022年10月25日
「よだかの星」は、宮沢賢治が亡くなった翌年1934年に発表された童話。
生前には、発表すらされてはいませんでした。
よだかは、その醜い容姿が故に、鷹から「たか」という名を使うな、名前を変えろと疎んじられます。
様々な出来事が重なって、次第に生きることに絶望を感じるようになっていく、というとても切ないお話です。
まず、この童話を読む前に「よだか」がどんな姿かを見ておく必要があります。
いろんな読書会で、「よだかの星」を紹介した際に、聞いてみましたが
「どんな姿をしているか」を知っている方は、ひとりもいませんでした(;^_^A
「よだか」は、こんな姿をしています。
凛々しくも美しい「鷹」とは似ても似つかない姿です。
この姿を見ると、冒頭の「よだかは、実にみにくいとりです」
という文章がリアルに伝わることでしょう。
お話の中盤に、
飛行するよだかの口に、カブトムシが飛び込んでくる、というエピソードがありますが、この口をみると納得できるのではないでしょうか(;^_^A
法華経の熱心な信者であった賢治。
法華経の教義には、「芸術を通じて教えを広める」とされており
賢治は、童話作品を通じて、法華経の教えを説いていこうとしていました。
よだかが無益な殺生をするぐらいなら死を選ぶという行動も、それを考えると何を訴えているのかが読み解けるようです。
また、賢治は実家がかなりの金持ちであり、周囲の貧しい農家を搾取していたと感じ、自分を卑下していたことを考えると、身の置き所のないよだかの姿も賢治に重なって見えてくるようです。
物語の中に出てくるエピソードが、いったい何を訴えようとしているのか。
賢治が亡くなってしまった今となっては、正解はありません。
読書会で、皆さんがどのように感じたかを語り合うとより深く読むことができると思います。
そんなこんなを
朗読と映像で表現してみました。