
「異形」への愛が試される、黒澤いづみ著「人間に向いてない」
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掲載日: 2019年06月24日
「人間に向いてない」は、ちょうど一年前、2018年6月に発売された作品。
講談社の第57回メフィスト賞受賞作品です。
装丁からもわかるかと思いますが(~_~;)
これは、だれにでも薦められる作品ではありません。
かなりの「毒」があります。
ボクは、たびたび読書会で推し本として紹介していますが(;^_^A
数年前から発生した、ある奇病。
それは、人間がある日突然「異形」の姿に変貌してしまう病。
罹患するのは、引きこもり状態にある10代、20代の若者。
主人公は、22歳の息子を持つ、ごく普通の主婦、美晴。
息子はと言えば、大学も行かず定職もない、いわゆる「ニート」
ある朝、息子を起こしに行くと、部屋には誰もいない。
ふと、足元を見ると・・・。
と、ここまでが、この作品のプロローグ。
ここから、おぞましいことがわんさか起こってきます(^_^;)
これは、カフカの「変身」がベースとなっているのかもしれません。
ただ、違っているのは、
「変身」では、虫に変身してしまったザムザの視点から
彼の心の葛藤が描かれていますが
本作は異形になってしまった子供を持つ家族の視点から
家族の心の葛藤が描かれている点です。
かなりグロテスクな描写があります(^_^;)
が、現実をふと振り返ると、また、これを暗喩的な描写と考えると、
案外、的を得ている描写なのかもしれません。
ボクは、読み終わった後、とても考えさせられてしまいました。
愛する人が、世にもおぞましい異形に変貌したとしたら
あなたは、愛を貫くことはできるでしょうか。
作者は、こう言及しています。
「社会的弱者と呼ばれた人々がまさしく『ひとでなし』へと変わったとき、果たしてどのような運命に導かれるのでしょうか」
ちなみに、作者の黒澤いずみさんは、プロフィールはおろか、性別さえ定かではない謎の作家なのです。
