アンナ・カヴァン「アサイラム・ピースⅠ」は、これから始まる舞台のお披露目。
- 海外文学
掲載日: 2022年09月25日
「アサイラム・ピース1」は、I~VIIIの8編からなる連作短編の第一章。
1940年に発表された作品です。
アサイラムは、「隔離病棟」を意味し、何らかの精神異常をきたした人を収容する場所。
ピースは、「断片」
つまり、「アサイラム・ピース」は、「隔離病棟素描」といったところでしょうか。
「広いテラス、そこはまさに、これから陽気で楽しい軽演劇が始まろうとしている劇場の舞台そのものだ」
冒頭のこの文章で、舞台はアサイラムらしいということが伺えます。
そして、そこに登場する様々な人物が描き出されていきます。
締めくくりは、
「人形使い師がワイヤを操作する。人々はワイヤの動きに悲しげに従う。
大粒の涙がこぼれだし、マリオネットの頬を伝って、ゆっくりと石のテラスに落ちてゆく」
「アサイラム・ピースI」は、いわば、序章のようなもの。
これから描かれてゆくアサイラム=舞台のお披露目なのでしょうか。