三島由紀夫「殉教」は、詩作への鎮魂なのでしょうか。
- 日本文学
掲載日: 2023年03月24日
「殉教」は1948年(昭和23年)に、文芸雑誌「丹頂」に掲載された短編小説。
学習院と思しき学園で、ひとりのひ弱な少年が迫害されていく様を描いています。
この作品だけを読むと、何を描こうとしているのかがよく掴めません。
巻末に、三島自身の注釈が残されており、「詩の殉教」と記載されています。
ふと思い出したのが、「殉教」の6年後の1954年に発表された「詩を書く少年」です。
「詩を書く少年」では、自由自在に詩を書き自信満々に創作を楽しんでいた少年が
詩を書けなくなるまでの過程を描いています。
詳しくはコチラの記事をどうぞ。
https://honkomyu.com/contents/mishima2022dec02/
「詩を書く少年」は、三島由紀夫自身が少年時代に詩を書くことを断念した経緯を私小説的に描いた作品です。
とすると、「殉教」は詩を書くことを断念した経緯を心象風景的に描いたのではないでしょうか。