
国木田独歩「星」は、独歩らしからぬファンタジックな作品です。
- 日本文学
掲載日: 2022年10月05日
「星」は、1896年(明治29年)に、雑誌「国民之友」に発表された作品。
読書会の課題図書として取り上げられましたので再読しました。
人間のありのままの姿を描く「自然主義」作品が多い国木田独歩ですが、「星」は珍しく幻想的なお話です。
ただ、同年代の泉鏡花の作品に比べると、鏡花ほど文章が雅やかで精微というわけではないようです。
若き詩人が庭で焚火をしたところ、こんな風に燃え上がります。
「夜ふけぬれど、この火のみはよく燃えつ
煙いよいよ高くのぼれり」
やがて、天にある男星女星が焚火を見つけて降りてきます。
「天に年わかき男星女星ありて、女星は詩人が庭より立ち上る煙を見つけ
煙たどりて音もなく庭に下りぬ」
ここから、詩人と、男星女星の心温まる交流が描かれていきます。
なんと、ロマンティックなお話ではないでしょうか(;^_^A
市井の人々の生活を描くだけでなく
こんな幻想的な世界も描くのですね(;^_^A
