ジョエル・シュマッカー監督「フォーリングダウン」は、アナタの願望を見事に実行してくれる。
- 映画
掲載日: 2011年02月04日
ボクは、この映画を何度も見てしまう。
ストーリーがいいとか、台詞が面白いとか、特殊効果がすごいとか、
そんなことで、何度も見るわけではない。
「あー、溜飲が下がる。
今まで喉の奥につっかえていたものが、キレーにとれて、すっきり!」
となるがゆえに、何回も見てしまう。
マイケル・ダグラス演じる、主人公はアブナイ人物である。
常人のようでもあり、その実、ビミョーに、常軌を逸した行動をする。
そのビミョーさ加減が絶妙。
たとえば、
電話をかけるための小銭がない。
そこで、食料品店で買い物をして、小銭を作ろうとする。
が、その店の店主は、両替をしてくれない。
ものすごい嫌なやつである。
で、ちょっとした、いざこざになる。
店主がバットを持ち出してくるが、それを取り上げて、逆に店内をめちゃくちゃにしてしまう。
これぐらいのことで、逆ギレして、店内めちゃくちゃにするのはいけないこと。
それは重々わかっては、いる。
けれども。
マイケルダグラスの行動を見てて、ちょっと、スカッとしたりする。
こうした、シークエンスが次々におこる。
その度に、我々が日頃、思っていることを、そのまま実行してくれる。
マニュアルどうりにしか、対応しないファストフードの店員。
横柄な態度で、ゴルフをする金持ち老人。
無駄に道路を掘り返す工事現場でも。
こういった輩には、すべからく、お仕置きをくわえていく。
それも半端ないお仕置きを。
いやー、やっちゃいけないこととは思っていても、スカッとする。
なにしろ、日頃、心に中で思っていることを、実際にストレートにやっちゃうんだから。
面白いことに気づいた。
主人公が、トラブルを起こして、それを乗り越えて行くたびに、
手に持っている武器が、より強力なものになっていく。
わらシベ長者みたいに。
最初は手ぶら。
で、食料品店で、バットを手に入れる。
次は、ストリートギャングに絡まれ、バタフライナイフを。
さらに、ピストル。
そして、マシンガン。
あげくのはてには、バズーカまで。
ストーリーは単純ではない。
一連の事件の関連性に、ベテランの老刑事が気づく。
捜査を進めるうちに、主人公の素性が徐々にアラワになっていく。
主人公を追う老刑事。
二人の距離が徐々に近づいていく。
主人公が手にするのは、バズーカの次に手に入れた「武器」
そう、この物語は、見事なまでに我々の願望を代弁してくれ、そして、その罪までも、かぶってくれてしまう、類い稀なる大傑作なのである。