ボルヘス『伝奇集』を読み解くカギは、意外なところにありました。
- 海外文学
掲載日: 2026年02月11日
アナタには挫折本はありますか?
面白そうなので買ってはみたけど、あまりにも難解で、内容が頭に入ってこなくて途中で読むのを止めてしまった本。
ボクは、そんな挫折本がいっぱいあります。
川端康成の「水晶幻想」、バージニアウルフ「オーランド」、などなどなど。
なかでも、南米はアルゼンチンの作家ボルヘスの『伝奇集』は、お手上げです。
大学生の頃、何度も読み始めては辞め、読み始めては辞め、を繰り返した記憶があります。

今回読み直して気がついたことがあります。
読み解くヒントが意外なところに隠されていることに気がついたのです。
ボルヘスを読み解くヒント、その1
それは、タイトル。
日本語のタイトルは『伝奇集』。これが曲者なんです。
ボクは、このタイトルから、何か怖そうな話が並んでいそうと、思っていました。
それゆえ、面白そうだなと思って買ったのですが(;^_^A
で読んで見るとそんな怖そうな話が出てこない。
一体何なんだこれは、となっていたのです。
ところが原題は全く違っていました。
原題は『FICCIONES』スペイン語です。
英語だとfiction-フィクションです。
想像や創作によって作られた架空のお話。つまり作り話、ということ。
『伝奇集』は、ボルヘスが創作した「作り話が収められた短編集」だということなんです。

ボルヘスを読み解くヒント、その2
それは、プロローグ。『伝奇集』のプロローグにはこんなことが書かれています。
長大な作品を物するのは、数分間で語り尽くせる着想を500ページにわたって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。
ボルヘス『伝奇集』岩波書店より
粗筋を言えば済むので、長編作品は書かない、とボルヘスは宣言しています。
長々と文章を書くより、その要約を書く方がいい。
ただ、既に存在する作品の要約を書くことは、無駄なことなので、「架空の書物」に関する要約を書くことにする。
ボルヘスはこう宣言しているのです。

これらのヒントから判ったこと。
つまり、『伝奇集』には、ボルヘスが創作した架空の書物についての考察や批評が書かれているのです。さぁ、この大事な前提を手に入れたので、ボクはあらためて『伝奇集』を読んでいこうと思います。



