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カフカ『万里の長城』は、実にカフカ的な「カフカらしからぬ」作品です。

カフカ『万里の長城』は、実にカフカ的な「カフカらしからぬ」作品です。

  • 海外文学

掲載日: 2026年03月02日

カフカというと、誰もが思い浮かべる作品は『変身』。
ある朝目覚めると虫になってしまった男の話。幻想的で不条理な作品です。
カフカの作品のイメージは、まさに『変身』のような作品。不条理な状況を指す「カフカ的」という言葉があるくらいです。
そんなイメージで『万里の長城』を読むと、ビックリすることでしょう。
そのビックリする内容を見ていきましょう。

『万里の長城』はこんな作品です

『万里の長城』は、カフカが34歳の時(1917年)に執筆されたエッセイ。
代表作である『変身』が発表された年は、その前年の1916年です。
『万里の長城』は、小説ではありません。如何にして万里の長城が建設されたかを分析する論文なのです。
カフカ存命中は、どこにも発表されていない作品です。

『万里の長城』を解説します。

冒頭では、万里の長城が「工区分割方式」で建設されたということが明かされます。
端から順番に壁を建設したのではなく、20名ほどの労働者が班を組み、500メートルほどの壁を建設し、それをつなぎ合わせていくというもの。

では、いったいなぜそんな方式が採用されたのか。
そこには、あまりにも長大であるが故の理由があったのです。

その理由を実に理路整然と解説しています。
そこには、不条理の「ふ」の字もありませんので、カフカ的表現を期待した方は肩透かしに会うことでしょう。

さて、話はそこに留まりません。
同じように長大な建築物である「バベルの塔」に話が及びます。

「ベベルの塔」は、「万里の長城」と違い、完成に至りません。
完成どころか崩壊してしまうのです。

なぜ崩壊したのか。
バベルの塔を実際に組み上げている労働者たちの心理状態を考慮していなかったが故のことだと言うのです。


そうなると、「万里の長城」を完成させた指導者たちの優秀さに話が及び、さらには皇帝の存在を分析するに至ります。

実に壮大な論文です。

では、この論文を書いているのは誰か。
誰の視点で描かれているのかが、明かされていきます。

私は南東部の生まれであり、もっぱら民族の比較研究に専念してきた」とあります。
さらには「われら中国人は・・・」という記述もあります。

この論文は、ある中国人が記述した、という体で書かれている架空の論文なのです。

終始、論理的に筋道立てて描いてきた論文。まさにカフカが仕事で書いてきた労災の報告書さながらの不条理とは対極にある文章です。
が、最後の最後で、実は架空の論文だったという、実にカフカ的な不条理が待ち構えていました。

そんな、カフカの作品に大きな影響を受けたボルヘス
彼が書いた諸作品にも架空の論文の体で書かれた作品が散見されるのが、これで納得できました。

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